おくすり千一夜 第十九話 痴呆の元凶はアルミニウム!
最近H2ブロッカーという胃酸分泌を強力に抑える成分の入った胃腸薬が薬局で自由に買えるようになりました。ところが副作用や相互作用についての説明が義務付けられたためか、評判はあまり良くありません。では何故この種のお薬が許可になったのでしょう。
いま医療界は困った問題を抱えております。それは私どもの生活の中にアルミニウムが色々な形で利用されており、医薬品にもアルミニウムを含む化合物が制酸剤として大量に使われております。このアルミニウムが人体に入ると、特に脳の中に入ると悪いことをする、即ちアルツハイマー型痴呆症の原因の一つに考えられているからです。その後(二十世紀末)の研究でアルツハイマー型痴呆症とアルミニウムによる脳症(アルミニウム脳症)は、病理学的に区別されるようになりました。何れにせよアルミニウムは鍋・釜、食器類にもたくさん使われています。ですからもしアルミニウムが痴呆の犯人だとすると、私たちはこれらを鉄か銅か陶磁器に変えねばなりません。アルミニウムを使ったら、制酸剤を飲んだらどうなるのでしょう。
現在までの情報の概略を紹介しますと、イギルス、フランス、カナダなどで飲料水中のアルミニウムと痴呆との関係が調べられ、 アルミニウムは疫学上の危険因子と結論されまた。またウサギの脳内にアルミニウムを投与すると、痴呆の脳と類似の組織像が得られました。
さらに透析患者に頻発した痴呆症状(透析痴呆)が、透析に使用した水道水や薬剤中のアルミニウムが原因であることが判明したことから、 アルミニウムが実際にヒトの脳で痴呆症状を引き起こしうることが明らかになり、アルミニウム犯人説が濃厚になりました。
生化学的な研究では、βアミロイドというタンパクがアルツハイマー型痴呆症の神経細胞に見られる老人斑の構成成分と分かり、これが神経毒であることからアルツハイマー型痴呆症発症にも関連すると考えられております。
βアミロイドタンパクは低分子で、生理的条件下で容易に会合して多量体になり、これが神経細胞の外側に蓄積され老人斑を形成します。アルミニウムは鉄、銅、亜鉛に比べ極めて顕著に老人斑形成を促進するそうです。
βアミロイドタンパクの毒性についても研究され、この物質が神経細胞の膜表面に、大きな穴(イオン・チャンネル)をあけ、神経細胞のイオンバランスを崩し、細胞を死滅させ、アルツハイマー型痴呆症が発症するという説です。一方、亜鉛はこのチャンネル形成を阻害するそうです。
さて、健康な人はアルミニウム化合物を摂取しても肝臓や腎臓の機能が正常であればその殆ど全てが速やかに排泄され、問題は起こっておりません。しかし、腎機能が低下すると、永い間血液中に滞留し、これが徐々に脳内に入り、脳に排出機構が存在しないためアルミニウムの蓄積が起こり痴呆になると思われます。
それではどうすればよいか。触らぬ神に祟りなし。疑わしきは使わない、服用しないことです。アルミ製のやかんや鍋・釜はアルマイト製品に変えましょう。表面に酸不溶の膜があるからかなり安全です。酢や梅干し入りの酸味料理には必ず鉄かホーローの容器を使いましょう。
制酸剤はどうするか。アルミゲルに代表されるAl化合物よりナトリウムやマグネシウムの入った制酸剤をお奨めします。牛乳をよく噛んで飲むのも一方法です。重曹は発生する炭酸ガスが胃を刺激するので使用されなくなりました。現在はカマという名の酸化マグネシウムが主流です。どうしてH2ブロッカーが許可になったかこれでお分かり頂けたと思います。
アルミニウムはお鍋のほかにも
鬼家には、今でも、アルミ鎬はありません。小鬼家にもありません。でも、お鍋と胃薬以外にもアルミが口に入る機会はたくさんあります。
菓子パンやドーナツの膨張剤、漬けナスなどの色止め剤、タコ・イカ・クラゲ・ウニなどの形状安定剤、野菜の煮物などの品質安定剤、各種食品の着色料などに、アルミの化合物が使われています。
平成23年度~24年度に加工食品と野菜などの生鮮食品からアルミニウムをどれくらい摂取しているのか調査が行われました。アルミニウムの推定摂取量の平均値は、すべての年代層で暫定的許容量を下回っていました。しかし、小児では許容量を超える可能性があることがわかりました。穀類加工品や菓子類などの寄与が大きく、これは、膨脹剤として使用される食品添加物(硫酸アルミニウムカリウムや硫酸アルミニウムアンモニウム)によるものと推察されています。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/aluminium/index.html