おくすり千一夜 第二十一話 B1B6B12主薬製剤とは
製薬メーカーが医師の処方せんなしに皆様にお届けできるビタミン剤、これをOTC薬といいますが、ビタミンの種類は法律で決められており、ビタミンA,D,E,K,B₁, B₂, B₆,B₁₂,C,ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチンの13種類に区分されます。「 B₁B₆B₁₂主薬製剤」がどの様に優れているのか、ビタミンとは何かからお話しましょう。「ビタミン」は私どもが生命維持に不可欠な窒素(アミン)を含んだ物質」と考えられ、Vita+Amineと名付けられました。しかし生命に不可欠な物質はアミンだけではないのでeが取れてVitaminとなり、微生物に必要なビタミンを「成長因子」と呼び、区別しております。
ビタミンが欠乏するとどんな症状が出るかはご存知ですね。具体的にはVA が不足するととり目に、白米ばかり食べるとVB₁不足で、脚気になり、米糠の成分でこれが治療できたことは余りにも有名です。それからVCが不足すると歯茎から血の出る壊血病になりますが、ミカンを食べれば出血がとまり、冬場日光の少ない雪国ではVDの不足で背骨の曲がるくる病に成りやすいのです。
本剤に含まれるVB₁は神経と心血管系と消化管の機能維持に必要で、VB₆は蛋白代謝に重要な役割をしており、VB₁₂は悪性貧血に効くビタミンで、神経痛、多発性硬化症に効果があり、疲れやすい方の強壮剤として用いられております。
バランスの取れた食事をし、充分な睡眠と適度な運動をしていればビタミン不足など起らないのですが、お酒の飲み過ぎ、過労、睡眠不足、それに偏食が続くと意外にビタミン類が不足するものです。また抗生物質や経口避妊薬を服用していると、ビタミンの欠乏が起こり、甲状腺機能亢進状態でも多量のビタミンを必要とします。
ビタミン不足が起こると、多くの場合一種類だけでなく関連のあるビタミンが不足します。例えばV B₁の欠乏している人は、VB₂、VB₆やVB₁₂も欠乏している場合が多いそうです。従ってビタミンB群の合剤が必要で、中でもVB₁、VB₆とVB₁₂が欠乏を起こしやすいと言われています。
アル中患者の30%はB群欠乏症で、結核のお薬や抗圧剤、経口避妊薬等を服用していると主にVB₆が不足し、1日50mg程の投与で回復すると言われております。
尚市販の「 B₁B₆B₁₂ B主薬製剤」には主薬のビタミンB群の他に佐薬として血管に若さを与えるVEと、自律神経の失調やストレスに強くなるガンマーオリザノールが配合されておりますが、これらのお薬は佐薬であるために能書や効能書に薬効を謳うことは許されておりません。そのためにビタミンB群の作用を助けるとか、強化するという曖昧な表現が使われているのです。