おくすり千一夜 第四十話 アルミニウム・レーキは本当に安全か

近年、糖衣錠やカプセル剤の色がかなり淡い色になっています。三十数年前、食用色素に発癌性のあることが分かり、当時、日本では十数種類が食品添加物として許可されておりましたが、欧米諸国では4~5種類でした。

そこで登場したのが、アルミニウムレーキ色素です。この色素は水に不溶ですから、安全と考えられました。以来三十年が過ぎ、毒々しい色調は消えて、全てが淡い色になりました。そしてOTCの錠剤は、ビタミン剤といえば全て橙色、鉄剤は赤、風邪薬は白と相場が決まってきました。

アルミニウムレーキ色素は飲んでも吸収されず安全と、誰もが言います。しかし、最近別な問題が浮上してきました。それは色素と結合しているアルミニウムです。アルミニウムを含む飲食物や薬剤を腎臓の悪い人が続けて服用していると、血中濃度が高くなり、やがて脳に蓄積されてアルツハイマー様のボケが出てくることが、明らかになりました。それは、ヨーロッパとアメリカの六つの病院で、透析を受けていた腎不全の患者の多くが痴呆てきたため、「透析ボケ」と言われ、調査の結果、透析液中に含まれるアルミニウムが犯人であることが、疫学的に証明されました。アルミニウムは本来生命には無用な金属です。これを利用して生きている生物を見たことがありません。ですから、これを体内から除去することの出来た動植物だけが地球上で繁殖できたのです。

アルミは酸性でない限り、水に溶けません。アルミとアルツハイマー様痴呆との関係がマスコミで討論されたときの結論は、酢を使う料理をアルミ鍋で作らない限り心配ないこと、また、それを食べても腎臓が正常なら、アルミは排泄され脳に蓄積されないこと、更に医薬品の中のアルミも連用しない限り心配ないと苦しい説明をしておりました。

しかし、もし腎不全の人がアルミ鍋で酢や梅干し入りの料理を作って常食したり、アルミニウムを含むお薬、とくに制酸剤や抗潰瘍剤を飲み続けていたら、どうなるのでしょう。それは極めて危険で恐ろしいことなのです。

話をアルミニウムレーキに戻します。アルミに色素のような有機物を結合することは、アルミを水に可溶化することを意味します。改めて文献を読んでみると、「レーキは本来、水、有機溶媒に不溶ですが、食用色素のレーキは多少溶けます。」と書いてあります。試しに錠剤をお湯の中に入れてご覧なさい。色素はきれいに解けてしまいます。発癌性の色素が、今度はアルミニウムを溶かしてしまっているのです
水に溶けるアルミニウムレーキは、発癌性と発痴呆性とを備えた毒物と言えます。

一方、人が腎不全になる最大の要因は糖尿です。現在我が国には六百九十万人の糖尿病患者がおり、高齢化が進む二十一世紀には一千万人を超すでしょう。この患者のかなりの方がいずれ腎不全を併発することは確実です。アルミの排泄能力を失いつつある何百万人もの糖尿病の患者さんが、痴呆の危険に曝されているのが現実なのです。

レーキに限らずアルミニウムを含む医薬品はたくさんあります。制酸剤の水酸化アルミニウムゲル、合成・天然ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト。抗潰瘍剤にもアルジオキサ、スクラルファート、解熱剤のアスピリン・ダイアルミネートがあります。この事実をどう思いますか?。

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