おくすり千一夜 続・第六十八話 アルミに関するQ & Aその後

鬼の元薬剤部長様

早速のご返事、(しかも超ご丁寧な!)ありがとうございました。
かような稚拙な内容の質問ですのでご引用いただいても御恥ずかしい限りですが、是非、他の方のご意見もお聞きしたいところです。

私はアルミニウムと言う不思議な元素に取り憑かれてしまった人間です。世にあるあらゆるアルミでできたものを探すのが趣味という変態です。近い内にホームページを立ち上げようと思っていますが、「アルツハイマー」の件も現在避けて通れない問題だし、その内容をおおいに盛り込みたいと考えております。

私も軽金属協会のHPを見ましたが、彼らの主張は「そういう事実は見られない。従ってアルミが犯人である、と言う証拠にはならない」と、歯切れの悪い論調です。要は確たる結論が出ていないからなのでしょう。やはりこれは世界中の研究者の調査を待つしかないようです。ですので私のようなシロウトは限られた、知り得る事実のみからしか意見は言えないと思うのです。

ネットでアルツハイマーとアルミの件について探していると色々な記述が見られます。 例えば、

*女性にアルツハイマー患者が多いのは、女性に鉄分不足の人が多いからである。
*アルツハイマーがイギリス人に多いのは昔から紅茶好きだからである。紅茶はインドで作られる。その土壌にはアルミが多く含まれているからだ。
*アメリカではアルミ鍋は販売できないようになっている。調味料を使って水を30分煮ると水道水の千倍のアルミが溶け出す。
*アルミは鉄分に化けて脳に集中し、神経細胞をダメにするとの事である。アルミと鉄は分子構造が似ているためである。
*アルミ濃度が高い飲料水を飲んでいるグアム島の住民にアルツハイマーが多い。
*腎臓機能が未発達な子供はアルミが体内に入りやすい。
*アルミのホイル焼きはおいしいのですが出来れば避けたいものです。
*アウトドア用品(食器など)にはアルミが多く使われているため、キャンプ好きな人にはアルツハイマーになる確率が高い。
*お菓子の包装アルミを間違って飲み込んでしまいました。1mm×2mmほどのものです。 アルツハイマーにならないでしょうか?
*水道水にはアルミが入っているらしいので、ウチでは井戸水に切り替えた。
*歯に金属の充填剤を詰めてもらいましたがアルミによるアルツハイマーは発症しないでしょうか?

等々、もうムチャクチャです。中には笑ってしまいそうなものまであります。ただ我々一般人と言うのはこういうものだと思います。

専門家の方がまことしやかに「疑わしきは・・・」と発表するとこういう尾ひれ背びれがついた伝言ゲームが発生するのです。 私がこだわりたいのはここの所なのです。

「塩ビ」も良い例でしょう。ダイオキシンによる塩ビ排除運動が全世界で繰り広げられていますが、本来適正な処分方法さえ確立されればこれほど有用な材料はないのに・・・。 それどころか一般、主婦のレベルではプラスチック、イコール、ダイオキシンとの見解が浸透しており、発泡スチロール、ウレタン、ポリエステルまでが害悪視されています。(もっとも今度は環境ホルモン問題が出てきましたが)

ステンレスもそうです。六価クロムが問題になった時あたりから「ステンレスからクロムが溶出する」との噂が飛び交いました。合金化したSUSからクロム分だけの溶出と言うのは笑い話なのですが、受け取り方はそう言うものなのでしょう。(世界の厨房機器の80%はステンレスだそうです)

インターネットは私は公器だと考えています。伝言ゲームが発生しやすい土壌なので、その意見の発表は慎重に行うべきだと思うのです。

「アルミを排泄できた動植物」に私が大変な興味を持ったのは以下のことからです。(これも全くの仮説ですが)
*アルミ自体は天然の形では存在しない。鉄や銅などが太古より使われているのにアルミが一般金属としてこの世に現れたのはここ百年の話である。
*それはアルミが極めて活性な金属であり、地球誕生の時から酸素と硬く結びつきあって酸化アルミ(アルミナ)の状態で地下に埋もれていたためである。 これを純粋な状態で取り出すためには電気分解が必要であった。しかも1万kw以上の!

地球を構成する元素の中で3番目に多いのもかかわらず、「アルミ」がなぜ天然には存在しえなかったのか?なぜ生物にとって「トレイスエレメント」になりえなかったのか? なぜこんなに取り出しにくい金属なのか?

以上の疑問から導かれる謎より私が思う事というのは「取り出しにくいものを無理に取り出す」事は何らかの「自然の摂理の抵抗」を排除することなのではないかと言う事です。 要するに「パンドラの箱」である可能性がある時もあるのではないか?

「取り出せない」と言う事に私は何らかの無言の意思を感じるのです。それは「アルツハイマー」というミクロ的なことばかりでなくマクロ的な意味での捕らえ方ですが。

この辺りの研究というものを私自身見たことはありません。 一笑に付されることかもしれないのですが以前より心に引っかかっている事です。 今後もこの事を追及していきたいと思っています。 色々な方々の意見が必須です。また貴殿のHPを参考にさせていただく事もあると思いますので今後とも宜しく御願い申し上げます。             以 上。

最近、厚生省は医薬品情報提供システムというホームページを公開しました。URLはhttp://www.pharmasys.gy.jp/kaitei/。その中の厚生省から製薬企業に出された使用上の注意の改訂指示の内容の中に、平成11年4月15日指示分の9項のアルミニウムを含む胃散について、以下のように使用上の注意を改めることとあります。

すなわち、「禁忌」の項に「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、透析療法を受けている患者は、長期投与によりアルミニウム脳症、アルミニウム骨症があらわれるおそれがある」と明確に記載されておりました。アルミニウム脳症とアルツハイマー脳症とが同じ症状であるかどうかは、専門家に任せるとして、これでアルミの摂取で惚けることが公に認められたと筆者は考えます。

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