おくすり千一夜 第七十七話 髪もウールも手入れは同じ

髪の毛や毛糸を顕微鏡で拡大すると、いずれも繊維の表面にウロコ状のキューティクルとか何とか言うものがついていて、これが温度や酸アルカリによって開いたり閉じたりすることが分かっています。毛糸の場合、30℃以上のお湯で洗うと中性洗剤を使ってもウロコが開いてしまい、互いにからみ合い縮んでしまうようです。ですから低い温度でゆっくり押し洗いををすれば、縮じまずに家庭で洗濯できるのです。

髪の毛の場合はどうでしょう。羊毛より太いので縮むとは感じませんが、アルカリ性の化粧石鹸で洗った後は、バサついた髪になった経験を、どなたもお持ちのことと思います。

近ごろのホテルや温泉の浴室には必ずシャンプ-とリンスあるいは両者兼用の洗髪料があり便利です。しかし、上等のリンスやシャンプーには色々な添加物が入っているので、これでアレルギーを起こす方には化粧石鹸で髪を洗ってもバサつかない手当ての仕方ありますので、お話しましょう。

髪のキューティクルは中性やアルカリ性では開いてしまいます。髪は酸性に保てれば、開きませんし、ツバキ油かオリーブ油を塗布すれば形と美しさを保つことが出来ます。化粧石鹸で髪を洗った後これを酸性にする方法はこうです。適当な酸を水に少量溶かして洗髪後リンスすれば良いのです。手近かなものに酢がありますが、匂いがあって適当ではありません。薬局へ行って「クエン酸」か「酒石酸」という固形の有機酸を一壜入手してください。永いこと使うことが出来ます。洗面器に大きめの結晶を一粒溶かします。酸味を感じない程度で十分です。これでリンスすれば、しなやかな御髪にかわります。是非一度お試し下さい。

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