おくすり千一夜 第七十八話 歯ブラシ紋次郎のすすめ
人は還暦を過ぎたあたりから歯の調子が気になるものです。歯茎が退化して歯がぐらついてきたり、口臭が異常に強くなったり、歯を磨くと必ず歯茎から出血したりするものです。歯科医に診察して頂くと「歯周病」とか「歯槽膿漏」という診断を下され、手術が必要な場合も起こって参ります。
日頃あれだけきちんと歯を磨いていたのにと、思われることでしょう。どうやら歯の磨き方が間違っていたようです。私共は露出している歯の表面ばかりをきれいに磨くことに集中していたようです。本当は歯の表面は繊維質の多い食物を良く噛めば充分で、昔の人のように指の先に塩を付けて擦るだけで良いのです。
問題は歯と歯茎の間にブラシの先を突き込んで擦る必要があるのだそうです。そんなことをしたら、ますます歯が浮き出してしまいそうですが、このような刺激を与えることで歯石の発生を予防し、歯茎の退化を逆に防ぐことが出来るのだそうです。歯茎の内側には軟骨があり、これが退化してしまうと歯は浮き出してしまいます。これを防ぐには歯茎をマッサージすることが大切です。
一日一回は十分以上歯茎のマッサージと歯と歯茎の間を左右に小さく振動させながらブラッシングすることで健康な歯を維持できるそうです。筆者は自動車通勤の間にこれを実施しています。皆さんにも是非歯ブラシ紋次郎になることをお勧めする次第です。歯を磨くより、歯茎を鍛えましょう。