おくすり千一夜 第八十五話 あなたも疲れていませんか?
これはビタミン剤の宣伝文句では有りません。厚生科学研究の疲労に関する調査結果なのです。日本人の3人に1人は「慢性疲労」状態にあると言うのです。誤解を招かぬよう原文に忠実に紹介しましょう。
{日本人の6割が疲労を感じ、3人に1人は半年以上疲労感が続いている「慢性疲労」の状態にあることが、国立公衆衛生院の箕輪真澄疫学部長らの実態調査でわかりました。17%の人は、疲労のために作業量が低下するなど、生活に支障を来たしていると答えているそうです。また、慢性疲労の人はドリンク剤を飲む頻度が高くなり、とくに、仕事量の多さや長時間労働など、明確な原因をあげた人にその傾向が強かったそうです。
この調査は、厚生科学研究「疲労の実態調査と健康づくりのための疲労回復手法に関する研究」(主任研究者、木谷照夫・市立堺病院名誉院長)で調査されたもので、結果は、近く「慢性疲労症候群研究会」で発表されるそうです。内容は、平成11年7月~8月、愛知県豊川市などに住む15歳から65歳までの男女4000人を無作為に選び、郵送によるアンケート方式で疲労の有無や原因などが調べられました。有効回答率は75.4%。
慢性疲労の人は35歳から54歳までの壮年期に多く、ドリンク剤を飲む傾向が強いそうです。また、睡眠時間が短く、寝つきが悪かったり夜中に目を覚ましやすい傾向が見られました。慢性疲労の原因は仕事量の多さなど日常生活に関係するものが主で、「原因不明」も13%。「病気」が原因は7%で、糖尿病、高血圧、肝疾患の順になりました。また女性では、自己免疫疾患や自律神経失調症、貧血も多かったそうです。}
朝寝坊して食事をとる暇も無く、駅頭でドリンク剤をぐい飲みし、週間紙か新聞を買って電車に飛び乗るサラリーマンをよく見かけますが、この結果が慢性疲労になり、更に過労死につながる、現代の悲劇と言えましょう。朝食はデラックスに、職場は快適に、人間関係はまろやかに、そして夢と希望に燃えていれば、少々睡眠時間が短くても、人は健康に生きられるものです。